ももたろう痛みのクリニック院長の高原 寛です。
私は、岡山大学医学部を昭和63年に卒業し、岡山大学医学部麻酔・蘇生学教室に入局。同年6月から赴任した研修先の高知県立中央病院でペインクリニックの手ほどきを受け、平成5年より福山光南病院で本格的に諸先輩方と共にペインクリニックを行ってまいりました。
医師である自分自身が患者となり、腰椎椎間板ヘルニアや脊椎術後痛、帯状疱疹を経験したこと
私は平成17年末に腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症を発症し、結果的に入院での腰部持続硬膜外ブロックを施行いただきましたが、残念ながら改善が得られず、内視鏡的椎間板ヘルニア切除術を施行いただきました。その間の痛みの辛さや無力感は忘れられませんが、手術適応について身をもって学ぶ事が出来ました。
そしてほぼ1年後の春に、手術した部位の神経根症が出現致しましたが、自身が初体験となる神経根ブロックをお師匠さんに施行いただき、治療自体の痛みの強さと共に、その有効性に驚きました。
また平成26年には頸部帯状疱疹に罹患し、激しい右上肢痛と頸肩部・後頭部痛を経験いたしました。椎間板ヘルニアの治療では手術療法という次のステップがありますが、帯状疱疹関連痛ではそのような方法はありません。あまりの痛みの激しさに一時激しい絶望感に襲われてしまいました。
また最近では、施行後の血管炎が取りざたされている、ある医療行為を受けた後に2回、激しい腰部神経根症を経験いたしました。残念ながら麻酔科医がみんな救急や集中治療室を診られるわけではないのと同じで、各種神経ブロックを施行できるわけではなく、それなりのトレーニングが必要ですので、帯状疱疹痛や直近の腰部神経根症では神経根ブロックを施行いただけませんでした。
治療の選択肢が限られる状況の中で、痛みに耐え続ける時間がいかに過酷なものかを改めて実感いたしました。
ペインクリニックを行っていく上でのかけがえない財産に
外見的には健康そのものとしか見えないような状態であっても「人生すら変えかねないような激しい痛み」を経験した事で、シュバイツァー博士が言われた
「Pain is a more terrible lord of mankind than even death itself」
「痛みは、死そのものよりも恐ろしい、人類の主(暴君)である」
という言葉の意味を、身をもって知る事が出来た事は、今の私にとって、ペインクリニックを行っていく上でのかけがえのない財産となっております。
「痛み」は症状ではなく、治療すべき「疾患」
私たち麻酔科医は麻酔を行う事で、手術の侵襲(痛み)から患者様の身体を護ります。そして急性痛の代表である手術後の痛みも、手術侵襲が加わる前から鎮痛処置を始めることで、術後の痛みが軽減します(Pre-emptive analgesia:先行鎮痛)。ですから、慢性疼痛を引き起こす様々な疾患が診断された時点からの適切な早期介入が出来れば、慢性痛自体も軽減できる可能性が高まります。
私は、自分自身が患者になった経験と、これら臨床上で経験した術後痛や慢性疼痛の症例を通して、痛みそのものが治療対象であると考えておりました。
2023年に公開された国際疾病分類(ICD-11)では、慢性疼痛が「MG30」として、単なる症状ではなく、独立したカテゴリー(病態)として記載されました。
私自身が患者としても経験し、また医師としても数多くの症例を見てきた、椎間板ヘルニア(や脊柱管狭窄症)による神経根症や脊椎術後の痛み、また帯状疱疹関連痛は、しばしば慢性疼痛に移行して、QOLに多大な影響を及ぼす可能性があります。
急性痛は局所の炎症性反応が主となりますが、すでにこの時点から神経系への感作が始まっていると考えられています。慢性疼痛では強い痛みが持続する事によって神経系の感作が増強しさらなる過敏性の上昇や痛みの悪循環を引き起こし、最終的に脳を含めた神経系の可塑性による「痛みの記憶」を形作る可能性が示唆されております。
当院の治療方針
「痛み」はある日突然やってきます。
そこから予約して、1週間?2週間後に診察・・・という状況は、私自身が患者となった経験からは耐えられそうにありません。実際、神経根ブロックを行っていただけたのは発症翌日でしたので、有効性も高かったのだろうと考えております。
急性痛であれば予約なしでも受診いただいても大丈夫です(しばらくお待ちいただくことがありますが、ご了承ください)。
亜急性痛(発症から1-2週間程度経過した痛み)や慢性痛の場合は予約していただけたらよりスムーズです。
マイナンバーカードや資格確認証とお薬手帳は必ずお持ちいただき、可能な限り他院等での血液検査結果や画像(CD等)もお持ちください。
また予約患者様でも、予約日前に想定外に痛みの増強があれば、予約まで待たずに受診してください。可能な限り対応させていただきます。
当院では症状を伺って、必要であればレントゲンや超音波での検査を行い、痛みの病態と程度によって各種治療を提案させていただきます。
日常生活が可能な程度の症状であれば通常は内服治療から開始させていただきますが、日常生活に支障がある強い痛みの場合には、その原因と強さの程度によって針を刺して行う治療(トリガーポイント注射・関節内注射・末梢神経ブロック・深部のブロック等)も合わせて提案させていただきますが、無理に勧めることはありませんのでご安心ください。また症状に合わせて温熱療法やけん引治療も可能です。
針が怖い方は事前にお伝えくだされば、できるだけ針を刺さない治療を一緒に考えていきます。
「痛み」は感覚ですが、必ず「感情」を伴いますので、痛みの感じ方は千差万別です。日常生活で「つらい」と感じる痛みがあればあきらめずに一度ご相談ください。
患者様それぞれのつらい痛みに対してしっかりと向き合い、できる限り痛みなく健康的に明るい毎日を過ごしていただけるように、ペインクリニック専門医としてお役に立てればと考えております。
日本麻酔科学会 指導医
日本ペインクリニック学会 専門医
日本専門医機構 麻酔科 専門医
院長 高原 寛


